2001年10月28日
先週は札幌に出張。時間が空いたときに市内にある植物園を覗いてみた。市内にあっても昔の原生林がそのまま残っているとのことで、ニレの大木やシラカンバ、マツなど鬱蒼として、幽庭湖という名の池もあり、池の畔には蓮らしき大きな葉も散見して昔からの自然そのままであった。地には枯れ葉が厚く層をなし、いったん目を上にやると紅葉は今を盛りとばかりに赤や黄色の彩りをなしていた。
という風に書くといかにも優雅なように聞こえるけれども、行った当日は曇天で時々雨がちらつき、強風が吹いて木々をゴウゴウといわせていた。それになんといっても寒い。自然を楽しむというよりは、自然の厳しさ、北海道の冬の辛さを感じ取ってしまった。明治の頃の北海道開拓民の人達はこの厳しい自然と格闘して今の札幌の街を築いていったんだろう。風が吹き荒れ雪が殴りかかってくるような日には、大の大人でもグチが出たことだろう。年端のいかない子供達は
「こんな寒いところじゃなくて、昔の暖かい家のあるところに戻りたいよー」と泣いたことだろう。そんな声が聞こえてきそうであった。
住むとしたら寒冷の地よりも温暖なところの方がいいな。
2001年10月20日
15日(月)の朝早く、女房にお姉さんから電話が入った。
「地下鉄で今日なにかあるらしいのよ。ウチの娘に友達からメールが送られてきてわかったんだけど、その人のお姉さんがアラブ人らしい人から”明日地下鉄に乗らない方がいい”と言われたんだって。そのお姉さんは驚いて警察に届けたら、そのアラブ人は指名手配の人とそっくりらしいの。まさかとは思うけれども、ひょっとしてと言うこともあるから、朝早くから電話したのよ」
という内容。
女房は驚いて、「子供にも地下鉄に乗らないように言った方がいいかしら」と言い始めるので、
「デマに決まっているから、これ以上言いふらさない方がいい」と答える。
結局、なにも事件は起きなかった。
今朝の日経新聞にこれと同じデマのことがコラム記事になっていた。
インターネットとかメールとかが発達しても、人間心理は変わらないということだね。むしろデマの伝搬速度が速くなって質が悪くなっているようだ。
善意の人にデマが伝わると、つい最悪の事態を予想して親しい人に連絡をとってますますデマが広まっていくようになるわけだ。
私も実をいうとその日は夜になるまで心配な気持はあった、親しい人から話を聞くと真実みが増すものだし、ひょっとしてと言うこともあるからね。そんな人間心理を狙った悪質なデマだ。
2001年10月14日
先日の新聞で面白い広告を見た。
京都造形芸術大学と東北芸術工科大学(同じ経営らしい)の広告で、その出だしには
「IT立国をめざした国家政策は、すでに挫折したかに見える。・・・云々」
とあった。普段目にする文章と違って、なんとまあ生硬な文章だろう。書生っぽい大学人の書く文章だ。社会人の側から見れば、こんな文章には簡単に反論することができる、たとえば、「挫折したという具体的事例を示せ、そもそも挫折とはどういう状態を指すのか?」などなど。しかし、ふと考えてみると、ITなどの先端技術が今後の日本の進むべき道だとばかりに仕事をしてきている私にとって、逆にそれでいいのだろうかという気持にもさせた。「本当にそれでいいんですか」と振り返らせてくれるようなところがある。時勢にあわせて踊りを踊っているとつい自分の位置というものがわからなくなってしまうというものだ。こんな冷静な目をもっているところが大学のいいところなのだろう。
しかし、いまのご時世では大学も独立行政法人化などどいって踊りを踊らないとやっていけないようになってきているらしい。みんなで踊り呆ければ怖いものは何もないということらしい。あるいは、みんなが踊り狂っているときに一人だけ醒めているのはけしからんと言うことなのかもしれない。
でも、みんなが踊りを始めたら
「おい、本当にそれでいいのか」
と問いかける人がいなくなってしまうな。
2001年10月6日
何事もなくヨーロッパから戻ってきた。
最初に行ったのがドイツのフランクフルト近くの田舎町で、セーターを着てちょうどいいくらいの寒さだった。おかげでくしゃみを何回もする羽目になった。最初くしゃみをしたときに一つ隣に座っていた男がこちらを向いてムニャムニャと言った。「ルサイヨッ」と言われたかと思い、「どーも」と照れ笑いをする。2回目はバスの中でくしゃみをすると、前に立っていたのがわざわざこちらを振り向いてゴニョゴニョと言った。2回も続けば私にも雰囲気がわかる。きっと何かのおまじないを言っているんだろう。そういえば、くしゃみをしたときには直ぐに何か木でできた物を触るといいと聞いたことがあるなあと思って、その次にくしゃみをしたときは、慌てて木でできた物にタッチ。しかし、せっかくの行動も誰も注目してくれなかった。ドイツではこういう習慣はないらしい。とかく文化の違いというのは難しいものだ。こんな些細なことで、自分たちの仲間かよそ者なのかがわかってしまうというわけだ。
次いで行ったのがフランスのリヨン。ここはフランス第2の都市だけあって日本人らしき東洋人やアラブ人なども目についた。ここでもくしゃみをしたが誰も何も反応しなかった。他人のやることには我関せずという雰囲気があった。リヨンはいい街だね。
追伸 ドイツのおまじないは「Gesundheit」と言ってるらしい。ドイツ語に堪能な人に聞きました。
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