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2002年10月27日
「海洋堂の発想」(光文社新書)という本を読んだら、これがめっぽう面白くて、つい近くのコンビニでチョコQを買ってしまった。と、ここまで書いてわかる人はわかる、わからない人はわからない話だ。わからない人のために少し解説を入れておくと、少し前にブームだったチョコエッグという食玩のフィギュアを作っていたのが、大阪にある海洋堂という模型会社。模型マニアのオタクが集まっているところのようだ。
この海洋堂が1999年にフルタ製菓と組んで出したチョコエッグが大ブレーク、その後フルタ製菓とのゴタゴタがあり、現在はタカラと組んでチョコQを出しているそうな。この辺の事情も冒頭の本に詳しい。いまでもフルタ製菓からはチョコエッグは発売されていて(但し、食玩は別会社)、コンビニではチョコエッグとチョコQがライバルのように二つ並んでおいてある。
日本の漫画、アニメの水準は高水準で、現代の浮世絵に相当すると信じているのだが、日本のフィギュアも十分世界に通用する高水準のものだと思う。その精密さ質の高さから言って、きっと現代の根付というべきものだろう。

2002年10月20日
子供の頃、兄の本棚に「ゴッホの手紙」という本があって、ずいぶん難しい本を読むものだと思ったことがある。著者は小林秀雄。その生誕100年を記念した小規模な展覧会を見に行った。ゴッホの「烏のいる麦畑」という油絵のレプリカも陳列されていた。解説記事を読むと、小林はその作品に触発されて
「僕は、とうとうその前にしゃがみ込んで了った。熟れ切った麦は、金か硫黄の線条の様に地面いっぱいに突き刺さり、それが傷口の様に稲妻形に裂けて、青磁色の草の緑に縁どられた小道の泥が、イングリッシュ・レッドというのか知らん、牛肉色に剥き出ている」
という文章を書いている。
ところが、会場に飾られていたレプリカは、色は全体に黒ずみ、ゴッホの特長である激しい筆のタッチはレプリカの故にまったく感じられず、どうしてこんなイミテーションの作品に感動したんだろうかと不思議な気持ちになる。材料は二流でも筆力で一流の評論に仕上げるというところが、超一流の文芸評論家たる所以だろう。
                                      
2002年10月13日
パソコンのキーボードはタイプライターが発達したもの。だから欧米では皆同じアルファベットの並びだろうと思っていたのが大間違い。フランス人が使っているのは、キーボードの配列がYZが入れ替わっていた。「you」と打つと「zou」と表示されるわけだ。やっぱりフランス人は変わっているなと思ったら、ドイツ人のものも同じようにYとZが入れ替わっていた。それではイギリスではどうかと思ったら、これは普通の配列だ。この配列はキーボードの上段の左からの並びをとって「QWERTY(クワァーティ)配列」というのだそうだ。この調子でいけば、フランス、ドイツのは「QWERTZ配列」とでもいうのだろうか。クワァーツ配列とでも発音するのかな。ヨーロッパではみんな同じという常識は捨てなければ。ではイタリア、スペイン、ロシアではどうなんだと訊かれてもそこまでは未調査。

2002年10月07日
先週は国際会議出席のためヨーロッパに出張していた。国際交流の一環に貢献したというわけだ。夜、ホテルでなんとなくテレビを見ていると、ドイツ映画らしきもので日本の侍が出ているものがあった。ストーリーはこんなふうであった。
10人くらいの侍が軍議をしている。ドイツ語なので詳細はわからないが、どうも中国に攻め入ろうとしているようだ。
場面が変わって、大草原を疾走する蒸気機関車がでる。線路に爆弾を仕掛けて待ち受けている中国の土民兵たち。蒸気機関車の中には日本の侍がずらっと座っているが、裃に三度笠をかむっているので不自然なことこのうえない。それよりも何よりも機関車に侍というのが不思議だ。爆弾で立ち往生した列車をめがけて襲いかかる土民兵の一群、列車の中からは侍が鉄砲で応戦する。バタバタと倒れる土民兵、その中には列車の中に乗り込むのに成功するものもいて、列車内で白刃の戦いが始まる。
というようなハチャメチャな内容でつい深夜遅くまで見入ってしまった。こんな映画を見ていると国際相互理解なんていうのは夢のまた夢だね。

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